2010年4月14日 星期三

どこかで「シンポジウム」が開催されます




       開催場所を公開している「台湾油症被害者支持協会」設立大会が執り行われる1017日に、日本では森永ヒ素ミルク中毒事件における『十四年目の訪問』から40年目の「シンポジウム」が開かれる、という情報が『産経新聞』に掲載(10月11日)された大阪の(財)ひかり協会と被害者団体が主催し、関係者約70人が出席するとのことである。しかし、場所等の情報は全て「非公開」であり、「シンポジウムが開催される」こと以外は何も明かされてはいない。では、『産経新聞』は読者にどのような知識を提供しているのだろうか。それは言うまでもなく、この言説空間に於いて何が話し合われ、そしてこれから何が行われようとしているのかについて、『産経新聞』の読者は「何も知る権利などない」、ということを伝えているのである。言い換えると、予め選別された被害者と、協会役員でなければ知ることができない機密情報が、日本のどこかで静かに話し合われるということを、『産経新聞』の読者は報道を通じて知ったのである。「公共の福祉」の精神を問い正すべき「密室の会議」が、まさに台湾で一般参加を呼びかける「開かれた会議」との間に鮮烈なコントラストを形成しながら、同日に開催される。

     

 



6 則留言:

  1. サンケイ新聞の記事は偶然見ました。大変美しい言葉に飾られていて、本

    文中の問題点をすぐに見出すことはできませんでした。しかし、シンポジ

    ウムの規模には少し疑問がわきました。70名というと、現基金の専従者の

    職員数に近く、これは一般の被害者の参加を想定しているものでは無いな

    と直感的に感じたのです。

    一般に「シンポジウム」というと、基本的には「開かれた討論会」を示す

    言葉であると思います。仮に、参加者数限定ではあっても、公害問題の場

    合、最大の当事者である被害者が自由に参加できないというのは、どう考

    えても不自然です。そもそも場所が非公開では、それ以前のお話になりま

    すが、

    開かれたメディアであるはずの日本の新聞社が、このうような当事者排除

    のヘンテコな秘密主義会合を「シンポジウム」と称して社会面のトップを

    使って大きく(なんと8段記事!)報じ、その主催側の一人を個人的に大

    賞賛する記事を書くとは未だに信じられません。日本の民主主義の将来も

    薄ら寒い気がします。

    回覆刪除
  2. PS、

    森永ヒ素ミルク中毒事件では、非常に残酷な弾圧が長期に亘って被害者団体に繰り広げられ、そしてまた、

    現在も黒い噂がささやかれています。森永乳業がなぜ、これだけ強力な弾圧ネットワークを政党政派まで取

    り込んで構築できているのかについて、乳業資本といったものを、畜産や飼料や乳製品市場の歴史的連関か

    ら捉えなおしていくことも、必要かと思います。

    かつて、そのような視点からの主張もあったのでしょうが、今はほとんど見られません。

    森永乳業は、「恒久救済」(実際には完全に骨抜き)を自画自賛しつつ、それを雪印などを叩く材料にして

    おり、(雑誌での中坊公平氏との対談)少なくとも乳業業界としての反省の色は全くなくなっているので

    す。加えて、当の被害者団体や基金、弁護士までが、まるで、ちょうちん番頭のように「森永乳業さんすば

    らしい」キャンペーンをしています。

    競争の背景には、必ず、手抜きや行き過ぎといった形で、多くの危機が潜んでいることを抜きにして、加害

    企業と経済的利害共同体を形成して、もたれあいの精神を自慢げにアピールする。ここにこそ、公害再発の

    萌芽を垣間見てしまう私のほうが、少々神経質なのかと、悩む日々です。

    回覆刪除
  3. ヒ素の混入していた燐酸2水素ナトリウムは、乳化剤や製造助剤、調整

    剤として食品添加物として用いられている。今でも粉乳には似た物質リ

    ン酸2水素カリウムが添加されている。粉ミルクは母乳を目標にして

    作ったものであり、成分表示を見ればわかるが、40種以上の化合物の集

    合体である。乳幼児が最初に口にするものと考えれば、その原料化合物

    の安全性、製造工程や製品の品質保証を一般製品よりも厳重に行う事は

    当然である。にもかかわらず添加物をヒ素が混じっているような工業用

    にまでグレードダウンさせた背景はおそらく原価削減要求があったこと

    は想像に難くない。儲けやブランドイメージの維持のために現場に無理

    を強い、あるべきことが行われないという現実が見えていない経営者、

    あるいは報告していない幹部の責任は厳しく問われるべきである。一製

    造課長の有罪責任で済む話ではない。重大な事件であり教訓は生かすべ

    きと思われるにも関わらず、その内容が「不明瞭」なのは、当時の経営

    者や国の判断・処置と現在の感覚にギャップがありすぎることだと思

    う。いまさら再検討されては不都合な点があるのかもしれない。あえて

    「開かれていない」シンポジウムになっているのはそのような理由では

    ないかと感じます。

    回覆刪除
  4. knyさんへ

    knyさんからの問題提起は、今も、森永事件の教訓を、企業の生産工程現場における問題点と

    して捉えなおそうとしておられることを知ることができ、大変心強く思います。ご指摘のよう

    な、危機感が現場になくなるとき、新たな公害が発生し、深刻な被害が生れるわけですから。

    今回のサンケイ新聞の記事は、民主集中制という名のソヴィエト型党内統制を採用する党派集

    団が公害被害者を救済する目的をもったはずの団体を乗っ取り、すでに20年以上が経過した

    中で生れている問題を指しています。サンケイという保守を代表する媒体が、民医連と協立

    (協同)病院という誰もが日本共産党の傘下にあると知っている機関を8段記事で賞賛してい

    るのです。しかも無理やり記事掲載のネタにしているシンポジウムは、しゃんしゃんのお手盛

    り会議であり、しかも非公開なのです。その背景には、森永乳業からの要請(共産主義者かど

    うか正体はしりませんが、使える勢力は何でも使って、森永乳業を賛美せよとの)があると感

    じるのは私だけでしょうか?

    生産工程での不祥事や技術的問題は、もう大体出揃っているようですが、(もちろんknyさ

    んの“何か隠そうとしている”との疑いは晴れることはないでしょうが)彼らが隠したいの

    は、森永ヒ素ミルク中毒事件の企業側のあくどい歴史そのものであり、それによって基金の大

    部分を浪費する党派系専従者集団の生活を加害企業に保障してもらおうという発想ではないか

    と思います。その実態が最近、市民側からの告発(能瀬訴訟など)によって、隠蔽が難しくな

    ってきたので、過去の党派の支援の部分だけをピックアップして自画自賛する企画を思いつい

    たわけです。つまり一般市民の支援を敢えて捨象して、党派の支援だけで被害者が救われたと

    する「党派史観」的な歴史の偽造を意図しているわけです。しかし、それは閉鎖社会内部だけ

    で通用する浅はかな偽造なので、そこに一般市民がこられては、その歴史改ざんの事実が指摘

    されて、そこでカツをいれて教育しなおそうとしている専従者集団が大混乱して、大変な事態

    になることが分かっているので秘密シンポジウムにしたわけです。多くの一般市民が同事件の

    被害者救済に関与してきた事実を否定し、それによって、現在の一般市民からの意見を封殺す

    るという企画を必死で試みているというのが実際でしょう。

    回覆刪除
  5. (続き)

     企業が陥りがちな危機意識の喪失というものをもたらすのは、戦争などと同じで記憶の風化

    でしょう。その記憶を保障するのは正しい歴史的事実の継承であり、歴史の改ざん、忘却こ

    そ、knyさんのご心配される現場軽視の企業風土の復活に直結します。では、なぜ党派関係者

    が加害企業の手助けをするのかといえば、それは、一言で表現するのは困難なのですが、日本

    の戦後政治を反映した現象であるともいえます。しかし仕方ないでは済まされません。森永ヒ

    素ミルク中毒事件資料館をじっくりご覧頂くとさらに理解を深めていただけると思います。是

    非資料館をご覧頂き、宜しければご感想を下さい。そして、ご理解いただけるようでしたら、

    館のバナーをお知り合いにリンクしてください。この事件のもつ現在進行形の深刻な現実こそ

    が、企業関係者や政治関係者、そして組織に携わる全ての人々にとって、大きな気づきになっ

    ていただけるものと思います。

    回覆刪除
  6. さらにps、

    特に重要なのは、森永ヒ素ミルク中毒事件の背景には大手広告代理店のプロ集団が存在するこ

    とがささやかれており、社会心理学的手法を活用した「心理戦」の手法が展開されてきたとい

    う事実です。これは資料館の弁護士の言説コーナーで比較対象の形式で詳細に分析されていま

    す。たぶん、少し意外というか、もしかすると、驚かれるかもしれません。が世間では別の問

    題やテーマ(マーケティングプロモーションなど)で結構使われている手法であり、ビジネス

    の専門家の間では珍しいことではありません。要するに、被害者への抑圧支配に利用する時点

    で、技術の悪用になって、人道への罪になっているのです。

    この公害被害者を黙らせるための心理戦術は、森永ヒ素ミルク中毒事件が生み出した最大の悪

    徳なのです。この問題を克服できていないという点で、しかもそれを、加害企業から譲り受け

    た野党といわれる勢力が、加害企業とタッグを組んで自分達の根城にしているという現実は、

    我が国に民主主義と資本主義の健全な発展にとって、まさにブラックホール的磁場を形成して

    おり、致命傷になる危険性すら孕んでいるといえるかもしれません。

    ソヴィエトの崩壊、冷戦の終焉以後も、日本には未だ、民主集中制という全体主義的統治形態

    を維持する党派が議会制度の中に存在し続けているという現実もまた、冷戦政治構造から脱皮

    できていない日本社会の課題を根深く反映したものでしょう。悪徳企業にとっては全体主義統

    治形態の組織は、大変活用度の高い組織であり、様々な分野での悪徳企業や保守勢力との裏取

    引による共存共栄の党生活の実態が指摘されています。

    ではこのへんで。

    回覆刪除